グルテンフリーダイエット
と言う言葉をご存じでしょうか?
ここ数年、世界的にグルテンフリーという食事法が大流行しています。
日本でも最近、グルテンフリーを実践している人が増えているようですが、
実は「グルテンフリーの食事方法」と「ダイエット」とは直接結びつきません。
ですが、普段食べている食パンを米粉をつかった食パンに置き換える。
と言うように、「小麦粉の代わりに米粉に置き換える」こと自体には、ダイエットを行う上でのメリットがあります。
今回はグルテンフリーの本来の意味や、米粉に置き換えることのメリットを紹介します。
こんな人に読んで欲しい!
- グルテンフリーが具体的にどういうことか分からない
- グルテンフリーの生活をしているが思うように痩せない
- 小麦粉を米粉に置き換えるメリットがなにか分からない
そもそも「グルテン」とは
グルテンを一言で言うと、
「小麦に含まれるたんぱく質が変化したもの」
小麦や大麦、ライ麦などの穀物には
- グルテニン
- グリアジン
の2種類のたんぱく質が含まれています。
小麦粉に水を加えてこねることで、グルテニン・グリアジンが水の中で結絡み合い、「グルテン」という網目状の物質に変化します。
パンやパスタ、お好み焼きなどのモチモチした食感はグルテンの働きによるものです。
その中でも特に、グルテンとパンは切っても切れない関係性。
パン生地は発酵の過程でガスが発生します。
グルテンはその粘り気でガスが出ていくことを防ぎ、生地が風船のように膨らむことで、ふわふわの美味しいパンになります。
「グルテンフリー」の本来の意味
グルテンは要はたんぱく質の1種。
また、ダイエットを行う上でタンパク質は欠かせない、むしろ積極的に摂るべき栄養素です。
あれ?ダイエット中にタンパク質を抜くっておかしくないか?
グルテンフリーってそもそも何なんでしょうか?
グルテンフリーとは文字通り、グルテンを抜いた食事や食品のこと。
もともとは小麦アレルギーの人や、「セリアック病」というグルテンを摂取すると下痢を引き起こしてしまう病気の人でも食べられるように開発されたものです。
つまり治療法です。
欧米諸国では有病率が1%程度ですが、日本などのアジア諸国では有病率0.05%程度と極めて稀と言えます。
そのため、欧米諸国を中心にセリアック病の治療法とされていましたが、最近では体調管理の一環として取り入れられることが増えいます。
参考:最近注目されている腸の炎症性疾患
「グルテンフリー」と「ダイエット」の関係に医学的な根拠はない
ここまでの情報をふまえて、小麦アレルギーやセリアック病ではない人達がグルテンフリーの食生活に切り替えることによって、世間で言われているような健康や美容やダイエット効果があるのでしょうか?
結論、「ない」です。
英国国民保健サービス(NHS)によると、科学的な根拠はほとんどないと発表されています。
また、内閣府食品安全委員会からも、海外の公的機関による情報を収集した結果、「グルテンによる健康影響について科学的根拠が確かな情報は、セリアック病以外に懸念を示唆するに十分な資料はない。」と発信されています。
「グルテンフリーダイエット」そのものは科学的根拠の薄い情報です。
- グルテンフリーの食生活にしたことで、健康的になった!
- グルテンフリーに切り替えてダイエットに成功した!
と言っている人の多くはグルテンフリーを心がけた結果、「糖分の多い菓子パンの摂取を控えたり」、「脂質・糖質の多いラーメンを食べなくなり」、健康的な食生活でダイエットに成功した人と考えるのが自然です。
「グルテンフリー」という言葉が独り歩きしている状態なんですね!
「グルテンフリー」にのメリット・デメリット
グルテンフリーの食生活を送るには、これらのグルテンを含む食品を口にしないか、小麦粉の代わりに米粉などで代用して作られた食品しか食べることができません。
ダイエット方法としては科学的根拠のないグルテンフリーですが、
わざわざ置き換えをするメリット・デメリットは具多的に何があるでしょうか?
「グルテンフリー」のメリット2つ
グルテンフリーにするメリットは以下の2つが挙げられます。
- 新陳代謝の向上
- グルテン依存の抑制
新陳代謝の向上
新陳代謝を向上させる方法として「筋トレ」は有名です。
最近では「腸活」と言う言葉もあるように、腸内環境を整えることで代謝が上がるという研究結果も出てきています。
パンや麺類、お米には糖質が含まれていますが、パンなどの加工食品は体内で分解されづらく、代謝が下がりやすくなるという特徴があります。
それに対し、お米はそのままの食品で消化がよく、脂肪になりづらいものです。
「糖質」と一括りにされるからなのか、「お米は太る」と勘違いされている方も多いですが、お米が直接の原因で太るというのは非常に稀です。
問題は、お米ではなく、代謝を下げやすいパンなどの小麦。
糖質を完全に断つのではなく、「小麦 ⇒ お米」の置き換えをするのがおすすめです。
そうすることで、腸内環境も整い、新陳代謝も向上。
ヤせ体質への改善が期待できます。
グルテン依存の抑制
小麦に含まれるたんぱく質「グルテン」には、「エクソルフィン」という成分が含まれています。
これにはタバコに含まれるニコチンや、お酒に含まれるアルコールのような依存性があると言われています。
そのため、パンなどの小麦は、食べれば食べるほど依存が高まっていくものです。
また、小麦に含まれる「アミロペクチン」という糖質は、血糖値が急上昇しやすい物質。
血糖値が急上昇するということは、そのあと急降下する可能性が高くなります。
このような血糖値の乱高下は、空腹を感じやすくなるため食べすぎの原因にも繋がります。
「グルテンフリー」のデメリット3つ
健康法として取り上げられるグルテンフリーにはデメリットもあります。
具体的には以下の2つが挙げられます。
- 栄養バランスがかたよりやすい
- 食物繊維摂取量が減る
栄養バランスがかたよりやすい
グルテンフリーにこだわりすぎると、必要な栄養素を補えないリスクがあります。
グルテンフリー食品には、本来小麦に含まれるビタミンB・ミネラル・食物繊維などが不足している場合があります。
偏ったグルテンフリー生活によって、本来必要な栄養素が摂取できず健康に悪影響ををもたらす可能性もあるため、足りない栄養素は他の食品で補う必要が出てくるかもしれません。
その結果、
「ダイエットを目的としているはずがカロリーオーバーしてしまい、全然痩せない。」
という状況になりかねません。
食物繊維摂取量が減る
小麦粉をはじめとした穀物類には食物繊維が豊富に含まれています。
そのため、グルテンを控えるために小麦粉を食べないようにすると、食物繊維の摂取量が減少してしまうことに…
小麦粉の食物繊維は腸内の善玉菌を増やすために必要と言われています。
グルテンフリーを実践する場合は、他の食材からしっかり食物繊維を補うことをおすすめします。
小麦粉を米粉に置き換えるメリットはある!!!
わざわざグルテンフリーの生活に切り替えても、ダイエットにはあまり効果はありません。
しかし、「小麦粉を米粉に置き換える」ということ自体には以下の3つのメリットがあります。
- 小麦粉よりも腹持ちがいい
- 小麦粉よりも栄養価が高い
- 小麦粉よりも油を吸いにくい
小麦粉よりも腹持ちがいい
米粉パンは小麦粉パンよりも水分を多く含んでいるため、腹持ちがいいといわれています。
米粉をつかった食パン
また、モチモチとした食感で何度も咀嚼する必要があり満腹感を得られる効果も。
小麦粉と比べてGI値が低いこともあり、ダイエット中であれば間食やよけいな食事を抑えることができます。
小麦粉よりも栄養価が高い
小麦粉に比べて米粉は栄養素も豊富。
炭水化物のほかにもたんぱく質、脂肪、ビタミンなどを含んでいます。
パスタにはタンパク質も含まれているからダイエット中におすすめだよ!
とよく聞くので、小麦粉と言えばタンパク質のイメージがあります。
でもじつは、タンパク質の栄養価の指標となるアミノ酸スコアの数値も小麦粉より上。
米粉パンは栄養価の面でも、小麦粉で作られたパンよりも優れている食品といえます。
小麦粉よりも油を吸いにくい
米粉は小麦粉に比べて油の吸収率が低いので、揚げ物に使うと冷めてもサクサク感が長く続き、さっぱりヘルシーな仕上がりになります。
具体的な吸収率は以下の通り。
- 米粉…21%
- 小麦粉…38%
分かりにくいですね。実際に計算すると、
21÷38=0.55263157…
となるので、油を45%カットすることができます!
から揚げ100gに脂質が20g含まれているとします。
衣を小麦粉から米粉に変えると
20×0.55=11
油は1gあたり9kcalなので、
9×9=81
となり、81kcalカットできる計算になります。
81kcalを消費するためには体重60kgの男性が25分間ウォーキングする必要があります。
実際に計算すると、ちょっとした置き換えの積み重ねもバカにできないですね!
他にも、小麦粉より消化が良く、胃もたれしにくいなどの特徴があります。
米の粒子の細かさや米に含まれる成分によって、パン用や麺用、菓子用など用途が異なります。
小麦粉の代用品として料理に使うなら、粒子が細かいものがおすすめです。
まとめ
この記事をまとめるとこのようになります。
- 「グルテン」とは小麦に含まれるタンパク質の1種
- 「グルテンフリーダイエット」そのものに医学的根拠はない
- 「小麦粉を米粉に置き換えること」には以下のメリットがある
1.腹持ちがいい
2.栄養価が高い
3.油の摂取量が約半分になる
「グルテンフリーで痩せたつもりが、突き詰めるとただお菓子や揚げ物を食べなかっただけ」
という事例がほとんどです。
医学的・科学的根拠のないダイエット方法を続けて食べたいものを我慢し続けるよりも、
「小麦粉⇒米粉」のような簡単な置き換えをして、食事のストレスを減らすことの方がよっぽど快適で、長続きするのでオススメです。
それではまた